アメリカに来て得たもの


日本からアメリカに移住して以来、今年で30年目になる。その間にずっと、細々ながら好きなブルースを続けてきた。自分のリーダーバンドを持って、フルタイムで音楽をやることに踏み切ってもうしばらくになる。 
 

当初、留学生としてアメリカに来たときは、何の将来の保証もなかった。これまでいろいろな障害にぶち当たりながら、ジグザグの道をたどってきたが、推進力は常に前を向いていた。 
 

今思い返しても、当時、留学を終えて米国滞在ビザが切れる直前に、偶然にも現地で昼間の仕事が見つかったのは、その時まさに神風が吹いた感がある。その後に繰り返した転職と引越しの多くは、生き残るための手段であった。
 

音楽的に良かったことは、一言に凝縮すると、自分が歌うブルースに生活感が出たことだ。それは、この国で長い間暮らした生活体験からくるものに他ならない。ブルースは生活を歌にしているからだ。 
 

これまで、多くの先達からエネルギーをもらって、それを吸収してきた。長い年月を経て、ようやくこのごろ、自分の中に貯めたものを発散できるようになってきた。 
 

この時点でまだやり残していることは何かと考えると、これまで、ブルース音楽のメッカであるシカゴに、住まなかったことである。実は30年前に、アメリカ移住を決意する前に、シカゴまで下見に行ったのだが、その時はそこに住みたいと思わせる強いモノがなかった。
 

僕が志向する伝統的なシカゴ・ブルースという音楽形態は、アフリカ系アメリカ人が生み出したものだが、それは今後もどんどん先細りして行くだろう。若手がそれを継承しないからだ。今にして思うと、少しでもまだ残り火がそこにくすぶっている間に、シカゴを経験しておかないと、自分に一生悔いが残るような気がしている。 
 

それにしても、このカリフォルニアの温暖な気候に慣れてしまうと、シカゴの冬は厳しいなぁー。 

(写真はシカゴのダウンタウン)

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