音楽を聴いて楽しむことは、受動的な行為である。だが聴く側の心情を、演奏者や歌手のそれに近付けようとする聴き方は、もはや能動的と言える。
僕は中学・高校生の頃、よく好きなギタリストのフレーズを完全コピーしようと努力した。それは、外国語の習得に例えると単語や熟語を覚えることに相当する。そしていったん演奏に自分の感情を込め始めると、そのフレーズはもう自分の内面から出てくるようになる。
この「音楽を能動的に聴く」ためには集中力を必要とする。
僕は数年前に、アメリカのあるポップグループの曲を何曲か習う機会があった。最初、ポップスだと軽く構えていたのだが、だんだん聴き込むうちに彼らの音楽は、真剣に聴くと神経が疲労した。
それは取りも直さず、その音楽にはジャズやロックンロール、カントリー、R&Bなどのアメリカのルーツ音楽の要素が根底にあり、その意味では自分がこれまで傾倒してきたブルース音楽と多いに共通するものがあるからではないか。
最近、僕はジャズのコンサートを聴きに出かけることが多い。それはプレーヤーが即興的に発散するエネルギーを吸収し、自分の耳に栄養を与えるためだ。
(写真はブルーノート・レーベル85周年記念コンサートを観に行ったもの。)
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