合理主義のアメリカのミュージシャンは、コストパフォーマンスを重視するから、最小限の努力で最大の実入りを期待する。毎回ショーのたびに20曲ほど新しく準備するなど、彼らには有り得ない。
日本にツアーに行くと共演者の方々からは、アメリカで長年活動をして来た僕から、何か刺激を得ようという好意を感じることがある。それは阿吽(あうん)の呼吸となって、無意識のうちにステージのパフォーマンスにも現れる。
最近になって人から、僕の演奏には音楽の「楽」が欠けていると言われたことがある。それは禁欲的と言って良いほどに、僕は最良質の演奏をバンドのメンバーにも厳しく求めるからだ。
僕にとって音楽を演っていて楽しいと思うのは、バンドのメンバー全員が確かな土台の上に立ち、自発的に各個人が意外性を発揮した時だ。緊張を破るその時の高揚感は、言葉で表現するのは難しい。さらに、その上に聴衆とのスピリチュアルな連帯感が生まれるとき、それはもう至福の空間となる。
日本ツアーを組むときは、僕はフリーランスのミュージシャンとして何から何まで全て自分で手配する。いずれいつの日か、それをするのが面倒に感じるようになったときが、いよいよ潮時なのかも知れない。その時こそ音楽を聴く側に回ってエンジョイするのも悪くない。
春の日本ツアーが、まもなく始まります。
(写真はシカゴのブルースクラブ、キングストン・マインズにて)
