日米でプレーするブルースの違いについて (その1)

日本でブルースを日本語で歌うことは素晴らしいことだと思う。ここでは英語でブルースを歌う場合に、日米でプレーするその違いを自分の体験に基づき、7回に分けて連載します。

 

まず第一にこれは当たり前だが、必要とする英語力の違いだ。アメリカでは聴衆は当然歌をちゃんと聴いていて、キメの歌詞のところでは反応してくるから気が抜けない。

 

そもそもブルースやソウルのように内面の感情を聴衆に吐露するような音楽では、楽器の演奏もさながら、何と言っても歌が肝である。歌う以前に英語に問題があるようでは、アメリカでは仕事にありつけない。ステージでは歌詞カードを見ないと不安だ、などと言うカラオケの次元は論外だろう。

 

僕は日本で生まれ育ち、20歳をゆうに過ぎるまで日本で英語を話す機会など無かったから、アメリカに30年以上住んだ今も日本語のアクセントが残っている。歌う時には何故かそれが大きく減少していて、聴く側にはあまり気にならないらしい。だが、自分にとって英語の習得はライフワークである。

 

ちなみに僕が日本で受験生だった頃、大学入試に必要とされる英単語力は8千語とか1万語程度と言われていた。一方アメリカでは一般知識人の語彙力は、少なくとも2万語ぐらいはあるようなことを、昔、日本で英語を勉強しているときに何処かで読んだことがある。

 

ブルースを歌うのに難しい単語を使う必要はもちろん無いが、曲間のエムシーを流暢にやるのに英語力は高い方が良いに決まっている。ライブとは、曲と曲間も含めたショーだからだ。それにオリジナル曲を作詞するのにもいっそうの英語力が必要だ。

 

日本もグローバル化が少し進み、国際結婚なども増えて、若い世代の英語力はずいぶんと上がっているに違いない。しかし、自分のことは勝手にさておくが、果たしてアメリカで通用する日本のブルースシンガーが今どれぐらいいるのだろうか。

(続く)

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