春の日本ツアーを終えて

 

昨秋から4年ぶりに再開した日本ツアーは、この春も無事に10日間に9本のライブを滞りなく終了した。今回さらに力強い手応えがあった。

 

街から街へと一人で渡り歩き、行く先々でその土地のミュージシャンとプレーするのは、刺激と変化がある。それは、言わばフリーランスでブルースやソウル音楽を演る利点の一つとも言えるだろう。

 

日本のプレーヤーの方々は概して、こちらが前もって送ったセットリストに基づいて、忠実に準備をして来てくれる。だから、当日の短いリハーサルだけでも、本番のステージでは高い質の演奏が期待できる。

 

2週間に渡るツアーは、そのゲストやサポート・ミュージシャンを入れると総勢20人以上にも及ぶビッグプロジェクトである。さらにオープニング・バンドのメンバーも加えると、その数は40人を超える。ツアーの企画には膨大な時間と手間が掛かるだけでなく、道中の交通手段や宿泊の手配も全て自分一人でやるからなかなか大変だ。

 

だが日本のトッププレーヤーの方々との共演は、こちらも大いにインスパイアされることが多く、それは正にミュージシャン冥利に尽きる。だからこそ、やり甲斐があるのだ。

 

しかし一方で年々、米西海岸からの長旅の疲労がこたえるのは否めない。それに、日本に到着してすぐに時差ボケと闘いながら演奏したり歌うのは正直なところ楽ではない。

 

この10年間、僕はフルタイムのミュージシャンとしてアメリカでサバイバルしたことで、今おそらく自分のパフォーマンスはピークに来ているだろう。今後のフォーカスは日本ツアーに置いているが、果たしていつまで日本に行く気力と体力を維持できるのだろうか。

 

僕は人前で演奏するときはいつも、もしかするとこれが最後になるかも知れないというつもりでいる。だから、これからも11回のステージを大切に、ベストを尽くすのみだ。

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