アメリカ西海岸でも特に、この近辺なら例えば、サンフランシスコや、ビーチのあるサンタ・クルーズなどは、観光客が多い。観光地では、ブルースを聴きに来るお客さんの層が少し異なる。ブルースを聴くというより、飲んで踊って楽しむことが第一で、ブルースと言う音楽そのものに必ずしもこだわりが無いようだ。
サンタ・クルーズのバーで演奏したときは、ヘビーなブルースよりも、一番受けが良かったのは、明るいサーフィン・グルーヴの曲だった。それに、こちらが昔のスタイルでシカゴ・ブルースをやっていても、サンタナの曲のリクエストが来たりする。
国土の広いアメリカでは、気候や人種の配分がその土地のブルースのスタイルに反映されているのは、面白い。この西海岸では、シカゴ・ブルースにありがちな、陰湿感のある音を出すブルースバンドは、少ない。音感がどこか乾いているのだ。ブルース・ハープを擁するバンドも、軽快なジャンプ・ブルースをよくやる。
そんな中にあって、1960年代頃の伝統的なスタイルで、シカゴブルースをやることに自分がこだわりを持つのは、少なくともこの界隈では、それ自体に希少価値があるようだ。