日米でプレーするブルースの違いについて (その9)

日米のライブの違いを一言で言うと、アメリカでは自発性や意外性を含めたグルーヴ重視、日本では聴衆を唸らせる完璧性を期待されていることにある。

 

アメリカのナイトクラブはたいていステージの前にダンスフロアーがあり、お客はお酒も進んで気分が良くなってくると席を立って踊り始める。多くの人は聴くだけでなく、グッドタイムを体でエンジョイするために音楽を聴きに来るのだ。

 

日本はコンサート形式で、開演から閉演まで2時間ぐらいの間は、聴衆は着席したままちゃんと音楽に耳を傾ける。ステージから見ていて、たまにお客さんの指先がテーブルを優しく叩いていたり、その膝頭が揺らいでいたりすると、「おーっ、今日は皆んなノッてるなーっ」と声を掛けたくなる。

 

それに日本では音楽を深く聴き込んでいる方が多い。聴衆の中には評論家顔負けにそのジャンルに精通している人も居るから、演奏する側も気が抜けない。これも日本ツアーに出るときは、アメリカを出発する前に僕が用意周到に準備する理由のひとつだ。

 

それにつけてもこれまでの人生を振り返ると、僕はいつも新しい環境での刺激を求めて、あたかも川の逆流をずっと逆上りして来たかのように思う。大阪で高校時代に黒人ブルースにハマって以来、40年以上もの間、僕は悪魔に魂を売り続けて来たのだろうか?(それは、ちょっとカッコ付け過ぎや。)

(続く)

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