ブルース・ハーピストとしてデビュー

先日、僕は遂にブルース・ハーピストとしてライブ・デビューした。普段は、自身のギターに加えて、ベースとドラムのトリオ編成だが、ギターを一人足して、自分はハーモニカと歌に専念した。この試みは、年末のその日、満員のお客さんに予想以上に受けたので、イベントとしては成功だった。今後は、ギターとハーモニカの二刀流で行くことにする。 
 

しかし自分の演奏の出来としては、10段階のせいぜい5か6ぐらいのレベルの満足度だった。ハープをベンドした後の音程がまだ不安定なところがあったし、フレーズの詰めも甘い。トング・ブロッキングにもまだまだムラがある。それと残りの課題は、音にアクセントをつけるトング・スラッピングという舌技と、ジュニア・ウェルズがハープを吹きながら時々入れる「ンバーッ」という呻き声をマスターすること。 
 

引き出しが10しかないところで、本番で10を出し切るのは無理だ。もっと奥行きと幅を身に付けて初めて、ようやく余裕が出るのだろう。が、よく考えてみると、本業のギターでも、自分で納得のできる演奏など、一生の内にいったい何回あるだろう。 
 

一般に、自分のパフォーマンスを、客観的に評価するのは難しい。どうしても、自分には甘くなるし、すぐに言い訳をしてしまう。僕は、自分のバンドの演奏をよくビデオに録画する。自己満足のためにではなく、いわば、スポーツ選手がそのフォームを研究するのに似ている。演奏した直後にもそれを見るし、暫く経って忘れた頃にもまた見る。この「忘れた頃に」というのが、ときに重要だ。自分をプレーヤーの立場から出来るだけ遠くに切り離して、視点を聴衆の立場に置くためだ。
 

僕は、長い年月をかけてギターでは乗り越えてきた(つもりの)壁を、今またハーモニカで越えようとしている。ブルース音楽のその奥深くに足を踏み込もうとすると、道は果てしない。

 

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