辞書だけではわからない、ブルースの歌詞の意味


前回、Money, Marbles, and Chalk というジミー・ロジャース原曲のシカゴブルース曲について少し書いた。日本に居た頃に、僕が初めてスライドギターを覚えた曲だ。


しかし僕は、アメリカに来てから、この曲を演奏することはなかった。それは、このタイトルの意味がよくわからなかったからだ。 


Marble は子どものゲームに使う石で、道路にチョークで枠を書いて、小石を当てて枠から出したりするものらしい。これに大人が加わると、ゲームにお金を賭けるから、この3品が全て揃った、すなわち何でも持っているお金持ちのことをさすことになる。古い言い回しである。 


以前にどこかで、ジュニア・ウェルズ で良く知られるHooDoo Man Blues について少し書いた。HooDoo とは、古くは男が女をとりこにする魔力のようなものだ。そこに出てくる、hoodoo  the  hoodoo man と言う歌詞は、“hoodoo man を出し抜く”、つまり “スケコマシのスケをスケコマスこと” であると、昔のバンドメートのアメリカ人が言っていたのを思い出す。この友人自身がスケコマシを地で行っていたので、多分あっていると思う。 


他にもブルースには、一見して他愛(たわい)もない歌が、実は明らかにウラの意味があったりする。Help Me というサニーボーイの有名な曲は、直訳すると“全てを一人でやるのは難しいから助けて欲しい”という何の変哲も無い歌だが、前述の友人に言わせると、これは性交渉の歌らしい。 

  
僕は長い間、ジョン・ブリム のIcecream Manという曲は、単に、夏の暑い日にアイスクリームを売り歩く男の話だとばかり思っていた。が、先日知ったのだが、これは明らかにナンパの歌らしいのだ。”風味を取り揃えて、満足を保証します“というところが、いかにも怪しげだ。 

  
マディー・ウォーターズ のGarbage Man では、女に逃げられた男が、自分の元に帰って来てくれと、懇願している。が、ここでいう“家に帰ってきて、ゴミを回収箱に捨ててくれるだけでいい”と言う、“ゴミ”が何を指すか、もはや明らかになってくる。


 

Leave a comment