ブルース・ハープ(その9)


この頃、毎日、シカゴ・ハーモニカ・ブルースの、ドロドロと粘りのある音感に浸ってもがいている。そのためか、時々、リー・オスカーのなめらかに伸びるハーモニカの音色が、無性に聞きたくなるときがある 

  

毎日、豚骨のこってりラーメンばかり食べていると、たまにふと、あっさりした塩ラーメンが欲しくなるようなものか (笑)。 

  

リー・オスカーは、ソロ・アルバムとウォーの頃を合わせて20枚近くCDがあるので、全部あらためて聴き直すのは、ちょっとしたプロジェクトだ。 

  

彼のハーモニカは、南カリフォルニアの爽やかな風を運んでくれるかと思うと、ある時は、北欧の寒い冬を思わせる寂寥感に満ち、はたまたある時は、南国の情熱に溢れている。 

  

僕は幸い、以前ロサンゼルスに住んでいた時に、パサディナのクラブでリー・オスカーの熱い演奏を観ることができた。ステージで確か、珍しいベース・ハーモニカなるものを持ち出してきたのを覚えている。 

  

先日、何曲か分析してみたところ、彼は、ファースト・ポジションのハープで、まず美しくなじみやすいメロディーを奏でておいて、時に曲の途中で、別のキーのハーモニカに取り替えているようだ。 

  

世の中には、掃いて捨てるほどブルースハープ・プレーヤーがいる中で、聞いただけですぐにそれとわかるトーンとスタイルを持っているのは、もうそれだけで素晴らしい。

 

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