新ネタをマスターするまで

 

バンドとして新しいネタ(曲)が身に付くまで、数回は演奏する必要がある。すぐにノリがハマル曲もあれば、しだいにまとまってくるのもある。 

  

毎週一晩、ホストをつとめているブルース・ジャムセッションでは、いつもリハーサル無しでぶっつけ本番だ。ハウスバンドのメンバーとの決め事は、全てE-メールでやりとりしているので、僕はそれを"バーチュアル・リハーサル(virtual rehearsal)”と呼んでいる。 

  

ジャム・セッションだからといって、ステージでいきなり曲を即興で作っていくわけではない。お客さんのいる前で、リハーサル無しにいきなり新ネタを演れるかどうかは、メンバー個々の力量と、それぞれの個人練習の量によるところが多い。そもそも、自分がまず見本を示さないと、他のメンバーがついて来ない。 

  

毎週決まった曜日にライブをやることは利点が多い。まず、聴衆の反応が、自分たちの演奏力を引き上げる一番の良薬になるし、自分達の演奏を目当てに来てもらえるファンができやすい。それにブッキングの手間と時間が省けるのが、何よりもありがたい。 


僕は、フロントマンとして自分のバンドを持つようになって、歌唱力が飛躍的に伸びたと思う。特に、黒人の常連客の多い聴衆を相手に、毎週ブルースを歌うのは、かけがえの無い経験だ。
 

一方、日本にツアーに行ったときは、日本からのサポート・メンバーとは、その場かぎりの演奏になる。当日の短いリハーサルだけで、本番でグルーヴをきっちり出してくれる、現地のミュージシャンの方々には、本当に助けられる思いだ。今後も日本での活動を平行して続けるが、概して、日本のブルース・ライブ市場は、アメリカよりもいっそう強い向かい風だ。
 

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